1100円で知るリトアニア【武蔵大学的美術生活#1】

2026年06月10日

皆様こんにちは。きじキジ部長のB.I.G. KENです。

突然ですが、教室間の移動の際に掲示物を見て読む機会はあるでしょうか。

私はあります。かなりあります。学内の各所にある部活動やサークルの募集のポスターから留学の案内まで様々な工夫を凝らしたポスター達は、武蔵大学の賑やかさを感じて大変興味深いですし、実はお得な情報が隠れていることも多いのです。

今回はそんなポスターから始まるお話です。

8号館の一階の講師室の近辺を歩いていますと、こんなポスターを見かけました。

このポスターは、国立美術館キャンパスメンバーズという取り組みの紹介ポスターでありまして、私はこのポスターに目を惹かれました。

国立美術館キャンパスメンバーズって何よって方向けに説明をしましょう。

国立美術館キャンパスメンバーズは、大学・短期大学・高等専門学校等を対象とした会員制度です。この会員となっている学校の学生や教職員は、展覧会等を 無料または割引料金で利用が出来ます。


日常から美術館を有効に活用し、肉眼で本物のアートに触れて、芸術に親しむ機会を増やすことで、より豊かな教養と感性を身につけてることを目的としたこの活動に武蔵大学は加盟しているのです。

 

そして、時は来ました。

5月14日の木曜日。

12時40分に授業が終わると、武蔵高中側の門より出ます。

住宅街を早歩きで抜けていって10分もしない内に都営大江戸線の新江古田駅に着きます。

それから電車に揺られて40分ほど、大門(浜松町)駅へ。

地下鉄の駅を出て浜松町駅から京浜東北線に乗っていざ上野。

上野には修学旅行生の群れ、未来の後輩も居るかもしれない等と思いつつ美術館の方面へと歩いて行きます。

地獄の門の彫刻の前を通り過ぎて国立西洋美術館の中へ。

 

企画展を含めたチケット料金は大学生は1500円です。

ただ、お忘れなく。キャンパスメンバーズならば更に安くなります。

私が払ったチケット料金は1100円。

 

館内のロッカー(無料)にリュックを預けて展示へ向かいましょう。

国立西洋美術館の地下へと降りて行くと受付があります。

チケットの質感が少し味気ないな、なんて思いながら進んでいくと展示の入り口へついに到着。冷房は良く効いています。

 

富嶽三十六景展とチュルリョーニス展とありまして、まず私が向かうのは目的だったチュルリョーニス展。

チュルリョーニスはリトアニア国内では名前を知らない人がいないような国民的芸術家。共産主義の足音が忍び寄る時代のリトアニアで精力的に活動した大変興味深い人物です。

ちなみに、私がチュルリョーニスの事を“芸術家”と呼んでいることには理由があります。チュルリョーニスはリトアニアで最も著名な画家でありながら勇猛な音楽家でもありました。

そんな彼が初期に目指したのは音楽と美術の融合と音楽的な絵画の制作。

この彼の姿勢が展示にユニークに生かされているのです。

展示室の中にはなんと音楽がかかっています。

ただ、音楽といっても普通のクラシックではありません。展示室で流れる音楽の多くはチュルリョーニスが作曲したものなのです。

チュルリョーニスの絵画作品の一部は『交響曲第二番』『交響曲第三番』といった調子で、彼の作曲した音楽をモチーフとして書かれたものが多くあります。

このような絵画と音楽の二つの芸術で紡ぐ物語は非常に魅力的であり、普段は静謐な美術館に音楽が流れているのはとても新鮮で興味深い体験でした。

 

そして、私の目を引くのは自然。心奪われたのは必然。

炭焼きの風情すらも感じる大胆な森を描いた『森の囁き』をじっくりと鑑賞して歩みを進めていくと、ハガキほどの大きさのフッ素エッチングがあります。脆く有毒であった版画技法に感心しながら進むとチュルリョーニスのシンボルが登場します。門です。

門の絵はどれも素晴らしく足を止める人も多いものでした。しかし、私が最も心を惹かれたのは『夏』という絵。空から生えているかのように錯覚する大胆な樹木と木々の間の切なく心を打つ青の色。温かみを感じる畑や納屋。優しい筆使い。ほんのり聴こえる美しい旋律。視覚と聴覚で私を深く刺激する素晴らしい絵でした。この時、私は3500円の図録を買うことを決意しました。

この後の感動を語るのはやめておきましょう。

私が思うに芸術は自分自身で感じるもの。

それに何より武蔵大学生にはこの体験を肌で感じて頂きたいのです。

チュルリョーニスの描く豊かな自然と人工物の融合はどこか江古田のキャンパスが思い出され、なんとも素晴らしいのです。

この記事を読んで興味が湧いた方が次にするべきは行動です。

1100円と学生証を握りしめて上野まで、キャンパスメンバーズを使って今年最高の芸術を体験してみてはいかがでしょうか。

 

取材・記事執筆 B.I.G KEN

サムネイル制作 川畑

PAGE TOP