学生&卒業生インタビュー第3弾【武蔵大社会学科卒・田中 俊之先生】

2014年02月17日


センター試験も終わり一般入試も始まって、すっかり受験シーズンとなってまいりましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。今回の学生&卒業生インタビューは大学の教員として、今現在私たちの武蔵大学で教鞭を執られている田中先生にお話を伺って参りました!!

 

田中 俊之 (たなか としゆき)
社会学博士 武蔵大学社会学部助教

1994年 都立武蔵高等学校卒業
1999年 武蔵大学人文学部社会学科卒業
2001年 武蔵大学大学院人文科学研究科社会学専攻博士前期課程修了
2004年 武蔵大学大学院人文科学研究科社会学専攻博士後期課程単位取得満期退学
2008年 博士(社会学)取得 武蔵大学大学院人文科学研究科社会学専攻甲第7号
学習院大学「身体表象文化学」プロジェクトPD研究員、武蔵大学・学習院大学・東京女子大学等非常勤講師を経て、2013年度より武蔵大学社会学部助教

今は、社会学を学問として深めていらっしゃる田中先生。ご専門の「男性学」とは、簡単に言うと、“男性が男性だからこそ抱えてしまう問題”を扱う学問で、男らしさとは何かということを考えていくというものです。しかし、大学受験当時は社会学に対して多くの高校生が思っているような「中高の社会科の延長」という認識しかなく「歴史の先生になりたい!」という気持ちで学部選びをしたそうです。


Q.社会学について興味を持ち始めたのはいつ頃ですか?

最初に「社会学原論」という授業を受けて、社会学が自分にフィットすると思いました。ここで“当たり前を疑う”ということを習ったんですよね。みんなが「これが当たり前でしょ」「常識でしょ」ということに対して、中高の時から「なんでみんな常識に捕われているのかな」と思っていました。ですが社会学はそういうことに疑問を持っていいんですよ。逆に「なんでみんなが当たり前だと思うのか考えよう」という学問なので自分に合っていると思いました。


Q.当時から勉強熱心でしたか?

その時は頑張ってはいました。成績で言うと社会学が好きだったから、社会学の科目でBが付いたことはありませんでした。授業で習ったら教科書もいっぱい読んだし、ノートも真面目にとっていました。その点に関しては、好きだから特に無理しているという感じはありませんでしたね。
さらに、武蔵にはいい社会学の先生が揃っているよねと言われていますよね。それもあって非常に楽しかったです。逆に一般教養は・・・みたいな感じでしたが。(笑) 
まあ、他には興味がなかなか持てなかったので、社会学がたまたま合っていたというのが僕の人生にとってラッキーだったということですね。

※高校の成績では5段階の「3」くらい


Q.どういった学生生活を送っていましたか?

ん〜、高校の時は吹奏楽部で部長でしたが、大学のサークルは馴染めなくて一ヶ月で辞めました。だから、大学生活で自分の居場所となったのはゼミです。ゼミの友達とは卒業して15年経った今でも会うんですよ。この前はゼミ生同士で結婚した友人の家へ遊びに行きましたね。
始めはサークルに馴染めなかったから居場所に困ったけど、3年生になりゼミが一層本格的になってからは、友達も多くなり居場所もできたし充実してました!
勉強面で言うと、そのゼミで当時メンズリブ(男だって社会の中で息苦しい思いをしているんじゃないかという疑問から出発した社会的運動)の活動をしている人が来たり、ゼミで伊藤公雄さんの「男性学入門」という本を読んだりもしました。そこで現在専門としている男性学的な関心の基礎ができましたね。そんな感じで大学生活後半はゼミと大学院入試の勉強と卒論がメインでした。

Q.大学院に進もうと思ったきっかけを教えて下さい。

今みたいに大学一年生がキャリアプランを考える機会とかはなかったので、進路に関してはわりと漠然としていました。3年生になった時に就職について聞かれる中で、常識を疑うじゃないけど、スーツを着て毎日出かけて働くというのが自分の中でそんなにピンと来なかったのですよ。ただ、当時は研究者というのが想像つかなかったから、漠然と大学院に行こうかなというくらいの感覚でした。良く言えば自分の勉強していることについてもっと知りたいと思って、悪く言えば就職とかに興味がありませんでした。だから説明会にも行ってないし、リクルートスーツも買ってなくて、就職活動というものを一回もやっていないんですよ。(笑)
それでも就職しないのだから、やっぱり勉強はしなきゃいけないと思い、先生に勧められた本を読んだり語学の勉強をしたりするなど真面目に受験勉強していました。

Q.大学院に進んだ後、研究職に就こうと思ったきっかけは何ですか?

人に何かを教える職に就きたかったんですよね。だから、保育士でも小中高の先生でも本当は良かったのかもしれないけれど、社会学やジェンダーが面白いと感じたから大学の教員という選択をしました。とくに、大学教員になりたかったわけじゃなくて、やりたいことに当てはまったのが大学教員だったんですよ。なので「研究者」と言われてもあまりピンと来ないんですよね。僕は教員になりたかったから。


Q.大学の教員になられて日々何をされているんですか?

基本的には授業の用意をしています。90分間、人前で喋るのでそれなりの準備はしています。話の難易度とか、学生の質とか雰囲気に合わせないといけないんですよね。後は研究活動をしています。本を書いたり論文を書いたりしています。それに加えて自分で調査したデータの分析もしなければいけません。それに、専門的な機器を必要とする理系の研究と違ってパソコンがあればできるので家でも仕事が無限にできちゃいます。だから文系の大学教員の仕事時間が少ないというのは誤解ですよ。やることはいくらでもあります。(ちなみに、この取材後は公務員向けの「男性にとっての男女共同参画」の研修を行うために平塚へ向かったそうです。)
大学の教員は世の中の人に研究成果を問うところまでするのが仕事なんですよね。


Q.田中先生は情報発信の手段としてTwitterも活用されていますが、何故でしょう?


市民講座やインタビュー等を通して、男性学を多くの人に知ってもらえる機会はこれまでもありました。でもそれだけで終わってしまうのはもったいないので、Twitterを使って今まで男性学を知らなかった人にも知ってもらおうと思いました。そのためにアカウント名も「@danseigaku」にしています。男性学を広めるというのが最も重要な点であります。その中で、学生以外にも一般の人が反応をくれたりするのは嬉しいです。あと女子力高めツイートについては、みんなが持っている「おじさん」という像を変えたかったからなんですね。(笑) いつも聞いているラジオをヒントにしてプレゼントをかけた企画も少しやってみたりしました。卒業生とTwitterを介してコミュニケーションが取れることも、やってみて良かったことの1つです
Twitterを使って男性学や武蔵大学の名前を広められたらいいと思っています。


Q.最後に武蔵大学について

武蔵大学っていい大学だけど少しのほほんとしていますよね。これから少し学生を駆り立てていく必要があるとも思います。教員として、学生には「武蔵大学だから」って将来を決め付けないで欲しいんですね。その中で自分がどう努力するかによって状況は変わってきます。人と比較して劣等感を抱く必要はないけれど、自分の力が最大限に発揮できなかったら後悔すると思うから頑張って欲しいです。
それと、個別具体的に将来の夢を、「人と接するのが好きだから営業と販売」とか今から絞り込まない方がいいんじゃないかなと思います。「好き」という部分で止めておいて、そこに対して努力していれば徐々にやりたいことが見えてくるはずです。僕はそれがたまたま社会学だったんですよね。そしてジェンダー、男性学につながりました。高校生や大学生の皆さんには、自分の関心の中で自分が続けられるものを見つけて欲しいです。

あ、そうそう。自分の能力を最大限に発揮するためには早寝早起きが大事だと思います。大学生は夜更かししがちなので気をつけて下さい!(笑)

どうもありがとうございました!

当初、大学の教員という職業に就いている方は、スーツを着て厳格そうなイメージがありました。しかしインタビューをする中で、田中先生は気さくで、親しみやすい印象を受けました。新たな大学教員像が見えてきたような気がします。
お話の中に、自身の可能性を最大限に発揮できなかったら後悔するというフレーズがありましたが、その言葉を胸に今後の大学生活を送っていきたいと思います。

 

田中先生と編集部員

(取材及び編集 経済学部 古跡 社会学部 炭田、恒屋)

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