潜入!!オモシロ授業&ゼミ

大学の授業というのは高校中学の授業と比べて、学ぶ分野が特化され、『えっ?本当にこれが授業なの?』と思ってしまうような特色ある内容のものが増えてくる。
この企画はそんな授業を我々、ウェブマガジン編集部が潜入し取材していこうというものだ。

そしてこの武蔵大学のちょっと気になる特色のある授業、ゼミを調べているとこんな情報が入ってきた・・・・。


ーーーーーー『受講する学生全員が和服を着て行う授業がある』


そんな授業が本当に武蔵にあるのか?

調査を進めていくと、 どうやら「伝統文化実技演習」という人文学部のゼミがその『和服を着て行う授業』ということがわかった。
そこで私たちウェブマガジン編集部は、早速そのゼミの実態を取材するために、潜入してみることに!

 


 

取材班が緊張をしながらゼミの教室に入ってみると・・・・

な、なんと、そこには和服姿!和服姿の学生がいっぱいいるではないか!!
教授も和服姿である!
このゼミの担当をしているのは、人文学部 日本・東アジア文化学科漆澤その子教授。
どうやら『和服を着て行う授業』があるという噂は本当だったようである!この時点でもう既にオモシロ授業って言えるのでは!?



教室には折りたたみ式の畳を引いており、皆さん浴衣姿で団らんとしていて、リラックスした雰囲気が漂っていた。

しかし授業がスタートすると、先程までの雰囲気とは一変し、授業開始の礼では全員が正座。私たち素人から見てもわかるぐらい、綺麗な座礼から始まった。



まず始めに前回の授業内容を確認し、そして今日は3つの座礼『草の礼』『行の礼』『真の礼』を実践する。
早速『草の礼』の実践から行っていくのだが、これがなかなか難しい。

 

草の礼は正座したまま真っ直ぐの姿勢で、少し会釈するところで相手の目を
見て挨拶をしてからお辞儀をする形で。街角で先輩に会った時のような・・

(漆澤教授)

チッス・・・。(草の礼をしながら)

(ゼミ生の皆さん)

そう!少し頭を下げるのが草の礼!更に丁寧になるのが行の礼。そのまま
手をついて、膝頭から20cm程離して指先だけつける。更に45度程・・

(漆澤教授)

(つ、つらい・・・・。)

(ゼミ生の皆さん)


このゼミはこのように学生が教授の話を聞き、実際に体を動かしながら覚えていくのだ。


その際に、漆澤教授は学生全員の頭の位置や顎の角度などを細かく見て、学生の体を直しながら教えている。

 


 

ここで何ともありがたいことに、端で正座をしていた私たち編集部員も、授業で行っていた「草の礼」を教えていただくことに!


教えていただくのは新人編集部員の北川椋子さん!!
石山はまだ端で正座していますね!!


ゼミ生の方々に早速囲まれる北川編集員!
さて、きちんと礼はできるのだろうか?


ゼミ生「まず胸を張って普通に正座をする感じで。手を斜め45度にしたら、指は軽く閉じてもらって。」


北川「肩が結構キツイですね・・・。


ゼミ生「肩は開くことになるのでキツイですよー。それで手を床まで滑らせて、指先をちょこんと着けたら、草の礼の完成です!」


漆澤教授「もうちょっと床に近づけてるといいですよ。」
ゼミ生「すごい首が曲がっていない!」
石山「椋子さんツライ?(笑)」 
ゼミ生「そんな感じ!オッケーですよ!!」


1名のガヤが入るもなんとか『草の礼』が完成!
丁寧に教えてくださったゼミ生の皆さんありがとうございます!


漆澤教授「今のような礼が苦しくなってしまっているというのは、非常に西洋化した生活に接しているということなんです。本来、日本人や東洋の人の体はその礼などに適した筋肉のつき方や遺伝子をもっていたのに、普段から西洋化した生活に慣れてしまうと、日本の生活様式に合わなくなってしまうのです。本来の日本人に合ってないことをするため、姿勢が悪くなったり足腰が悪くなったり、女性では便秘や生理痛になってしまうとも言われています。」


なるほど、素晴らしいことを聞いた!
このお話を聞いて、自分の生活様式に少し目を向けてみるのもいい機会。このようなちょっとした知識も授業ではよく話すそうである。


s-memo_gakusei

また授業中では漆澤教授が話をした後、ゼミ生の皆さんは各自の持っているノートに真剣に書き留めている。


そこで失礼ながら少しそのノートをお借りし、見せてもらうことに!



イラストや授業中話した要点がたくさん書いてあり、とても座礼の実践をしながら書いたメモとは思えないぐらい綺麗であった。
このように教授が口にしたこと、体験しながら学んだことを各自メモし、次週の授業までには十人十色の手引きを作って来るそうだ。



更に、その手引きを誰のものかわからないように全員で回し読み、修正したほうが良い点や表現が良い点など、お互い指摘し合い、多くの人の感じ方や表現を学んでいくのである。

イラストや体験した内容をメモし、自分で帯を結うといった作業をしているため、中には江戸時代の文献や絵を見て、書かれている帯の結い方がわかってしまう学生もいるのだそうだ。

 


 

そして最後に漆澤教授とゼミ生に質問をいくつかさせて頂いた。

 

ーーーこのゼミを通して学生にどのようなこと身につけて欲しいですか?


漆澤教授「ただ着物の着付けの仕方や浴衣で格好良く歩けるようになるのではなく、日本文化を自分自身で体感してもらうことで、そこから知識を得て欲しいです。素晴らしい書物を読んだ時に、何かに感激したり発見したりするように、実際に自分の体を使って感激したり、身について感動したりするものを感じ取ってもらいたいです。」


ーーー漆澤先生にとってこのゼミの”オモシロ”とは?


漆澤教授「武蔵の中で実技のゼミはこの授業だけなので、そこが一番のオモシロですね!それに学生と教員の関わりがとても活発なので、一緒に仲良く同じ目線で行われているゼミだと思います。だから私も学生と同じ浴衣の格好をしていますよ!教員に格好のことを言われることが多いのですが、コスプレってことにしています。(笑)」


ーーーー学生にとってのこの授業の”オモシロ”とは?


ゼミ生「みんなの書いてきたレポートなど見て、そこから色々な人の表現の方法や考え方を感じられることです。あとは畳の上で授業ができることですね!(笑)」


ーーーー将来の夢を聞かせてください!


ゼミ生「ここで学んだことを活かして旅館に住み込みで働いてみたいです。あと、ここで学んだ礼儀を活かして目指せ玉の輿だ!というのはよく言っています。(笑)」



最後の将来の夢を聞く場面では、教授を交えたゼミ生全員の将来の夢を言い合う、とても面白い時間を迎えたところで本日の『潜入!!オモシロ授業&ゼミ』が終了した。
漆澤教授、ゼミ生の皆さん、快く取材に協力して頂きありがとうございました!

 


第1回 潜入!!オモシロ授業&ゼミ

『伝統文化実技演習』
担当:漆澤その子教授

普段は文献を読むことが多い日東(日本・東アジア文化学科の略称)であるが、このゼミでは実際に日本の文化を体感してもらうことをコンセプトとしている。年に数回、日本舞踏や殺陣の先生などを呼び、実際ににプロの方から日本芸能について学び、表現や体験をまとめた後、最終的に学生たちで報告書を作る。なんでも印刷会社の選定から内容、表紙、イラスト全て学生のみで行うそうだ。(石山)

 

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