学生&卒業生インタビュー第11弾【広告制作会社勤務・宮崎 佳祐さん】

2016年06月04日


6月。この春卒業された先輩は新入社員として頑張られている時期ですね。
さて、一昨年武蔵大学を卒業された先輩方は社会人2年目を迎えました。就職された先輩、大学院に進まれた先輩。それぞれ新天地でどのような1年を過ごされたのでしょうか。
今回は、就職された先輩として、人気のマスコミ業界へ入社された卒業生にお話を伺いました。

宮崎さん1 正面

宮崎 佳祐(みやざき けいすけ)

広告制作会社勤務(2年目)

2015年 武蔵大学 経済学部金融学科 卒業  
4年次は吉田ゼミに所属。アールグレイT.T.(テニスサークル)と、ユースホステル部で活動。
また、オープンキャンパスの役職責任者を務めた。



◆憧れのマスコミ業界へ

――現在のお仕事に興味をもった時期やきっかけは何ですか。

高校生くらいの時、テレビ制作をする会社で働きたいと思っていました。親にもその話をしていました。
大学3年生の4月頃に大学からもらう武蔵キャリアアップセミナーのパンフレットを見て、高校生の時の話を覚えていた親に「マスコミ講座」というのを勧められて、その講座を受講することになったのがきっかけです。

――就活の時に自信があったところはありますか。

グループディスカッションは得意な方だったと思います。

3年の12月末にある就活イベントに参加して、そのときの経験が自信につながりました。そのイベント内容は説明会と選考会で、グループディスカッションと一次面接を行いました。4つの会社が合同で開催していたので、選考会も4回やりました。私はその時、初めてグループディスカッションをやって、各回1回ずつぐらいしか発言できなかったのですが、その分他の人のやり方をみる事ができました。4回とも同じメンバーでのディスカッションだったので、上手なメンバーのやり方を覚えられました。
そのイベントで学んだことを、その後のディスカッションや面接に活かすことができました。


◆最初から最後まで。広告制作会社の仕事とは?

――では、就職してからの事をお伺いしたいと思います。現在されているお仕事について教えて下さい。

3月に部署異動した為、作るもの(媒体)がガラッと変わったのですが、2月まではTVCMや、「TrueView」(※1)、「トレインチャンネル」(※2)などの動画系の広告に携わっていました。現在は電車の中吊りや駅のホームにある大きい広告・ポスターといった写真系の広告の仕事をしています。

※1TrueView」…youtubeで流れる広告の事

※2「トレインチャンネル」…電車で流れる広告の事

――以前所属されていた動画の部署のお仕事では、どのような作業を行っていたのですか?
 
受注から制作・納品まで全部やります。

例えば、とある会社が新製品を作って、それを広告する事になったら、まずその話を広告代理店にします。広告代理店がCMを作る事が決まったら、「いくらで、この商品のCMを作りたい」という依頼が会社のプロデューサーに来ます。そうすると、私達が監督を誰にするのかを決めて、監督をアサイン(※3)します。
そして企画がスタートするのですが、監督がどんなCMにするのかという案を作ります。ちゃんとクライアントと話をすり合わせて、監督の作りたいものが決まったら、撮影やCGなど色々必要なものが出てきますよね。それらをどんどん作る為に、カメラマンさんや照明さんをアサインして、撮影します。CGを入れる場合は、その専門職の方と話をつけて作ります。カメラマンさんの撮影が全部終わったら、次に編集しなければいけません。編集の場合も同じように依頼をし、編集してもらいます。最後に完成したものを広告代理店に納品します。それも私達の仕事ですね。

 ※3「アサイン」…割り当てる、任命するという意味の言葉


◆忙しい?職場のリアル

――仕事の中で大変なところはありますか。

以前所属していた動画の部署の仕事でいうと、一案件に対して、使うもの・やる事がすごく多く、限られた予算の中でいかにいいものを作るかは、私達の仕事にかかっています。

例えば、外でロケをする際、通常はロケのコーディネーターの役職の方に、撮りたい場所の許可取りをお願いしています。ロケ地を探す事を含め、全部の事をやっていただく事ができますが、その分お金がかかります。なので、予算が特に厳しい時は、その方に頼まず、自分達でその作業を行う事で、その分のお金を他のものに使えるようにするなど臨機応変に対応することもあります。カメラマンなどは代わりに行う事は出来ませんが、逆に自分達でやれる事もあります。例えば「スタジオで何かちょっとした小物を用意したい」という場合も、「分かりました。買いに行きます」と言えるわけです。

――それが全てプロデューサーの仕事なんですか。

いえ、私が現在、所属しているのは制作部で、「PM(プロダクション・マネージャー)」という役職のアシスタントである「PA(プロダクション・アシスタント)」をやっています。
これとは別にプロデューサーもいます。プロダクション・マネージャーとプロデューサーはやる事が全然違い、直接は繋がりませんが、私の会社の場合は「PM」を10年程やると、監督・プロデューサーに上がる権利が与えられます。でも、やる事が全然違うので、「PM」をずっとやりたいという人も多いですね。

――やる事が多そうですが、やはり忙しいですか。

そうですね。1案件に対してやる事が多い上に、複数の案件が同時期に何本も並行して進んで行きます。

例えば、1つのCMだけをずっとやっているわけではなく、こっちは編集の作業を色々しなければいけないけれど、もう一方では撮影前だから、準備をたくさんしなければいけないという状況の中で働いています。

――何か技術的に大変だった事はありますか。

基本的に、資料を作る作業は全部パソコンで行います。
「香盤」と言って、撮影の時に、こういう順番で撮るという事が書かれた資料があるんですが、そういった一日のスケジュール資料の作成をします。
「この人が何時に来ます」、「この人は何時からカットを撮ります」という内容の資料や、ロケ地の地図を作る事もします。それらを全部、用意するのも仕事です。
そういう資料作りは主にExcelで行っているのですが、私は実は当初全くExcelが使えなかったので大変でしたね。Excelはもちろん、Power Point、Illustrator(※4)、Photoshop(※5)、Premiere Pro(※6)など様々なソフトに慣れるのが大変でした。

※4「Illustrator」…アドビシステムズ社によるイラスト・デザイン編集ソフト

※5「Photoshop」…アドビシステムズ社による画像編集ソフト

※6「Premiere Pro」…アドビシステムズ社による動画編集ソフト


 
――学生時代にやっておけばよかったと思うことはありますか。

私の場合は、先輩達が教えてくれたり、分からない所は同期に聞いたりする事が出来たので、入ってからでも十分間に合いました。でも、学生時代のうちから基本的なITのスキルを身に着けていた方が、最初からスムーズに仕事が出来るので便利だと思いますね。

宮崎さん3 横向き


◆とにかくデリケートに

――仕事をこなす中で大事にしてることはありますか。

人間関係や、作品のクオリティもありますが、一番気を付けているのはメールのやり取りです。

ずらっと並んだ文章の中のたった一文、一言で、認識違いが起きてしまって、「これって本当はこういうことですよね?」という事故になる。本当はいくら払ってもらわなければいけないけど、この一文を読み飛ばしていたから10万円貰わなかった、というようなことが簡単に起こり得ます。なので、とにかく取りこぼしがないようにしなくてはいけないんです。
どの仕事にも通じると思いますが、関係者それぞれの権利とかが関わってきます。この仕事は特にそういうことが他の仕事より多いと思います。とにかくデリケートにやっています。

――この業界の方と仕事をするなかで、刺激になることはありますか。

一流の人は求めてくるレベルがすごく高いです。

例えば当然の事ですが、撮影をする時、カメラマンが準備をしている間に撮影物のセットは完璧にして、カメラの準備が終わったらすぐ撮影できる状態にしなくてはいけません。カメラマンの準備ができているのに、埃取りとかしていたら、待たせていることになるわけだから、そのような状態にはまずしてはいけません。
それを当たり前として一流の人は皆動いているから、やっぱりそういう現場は刺激になりますね。

そういうところで自分も反省、改善しながら、勉強してやっています。


◆コミュニティは、財産になる

――現場で知り合った人たちと、仕事以外で会うことはありますか。

会う機会は作ろうと思えばいくらでも作れますよ。そうして出来たコミュニティって財産になります。

仲良くなれば、もしかしたら次ちょっと我儘も聞いてくれるかもしれないだとか、スケジュールがあいてなかったとしても調整してくれるかもしれないだとか、すごくそういう事って大事だと思います。
私にも少しはコミュニティがありますし、今後、もっと作っていかないといけないと感じてもいます。
今後もし将来的に独立してフリーになった時には、カメラマンなど知り合っていないと案件を回せなくなってしまいますからね。

――仕事で楽しいと実感することはありますか。

モノが完成した時に立ち会って、出来上がりを見る時はやっぱり楽しいというか、やってよかったなって思います。

あと完成したものが世にでたとき。自分がなんとなくテレビを見てたら、「あーあーやったやった」ってなる時はやっぱり嬉しい。楽しいというか嬉しいですね。
次の案件をガッツリやっている、というタイミングで、前の仕事の完成品が世に出るんです。今の案件で忙しいけど、「ああこれ、やったやつ!」っていうリフレッシュがくるので、頑張れましたね。


◆社会人としてのメッセージ

――これから就活する学生が、やっておいた方がいいことはありますか。

自分がやりたい業種があるならそれが実際何をやっているのか、どういう働き方をしているのか、というのをちゃんと調べておいた方がいいと思います。
例えば『営業』といっても、会社によって全然違うから分からないじゃないですか。そういう事も、入りたい企業があるのならば、調べておいた方がいいと思います。なんとなくの憧れのイメージで来る人も多いから、辞めていく人も多いのだと感じます。

――では、来年社会人になる後輩たちにはなにかメッセージはありますか?

大学生活と比べたら、たぶん0と100ぐらいの差でこれから1年大変なことが多いと思います。
それでも頑張らないと楽しいことは見出せませんから、気を強く持って頑張ってください!

――とても参考になるお話でした。宮崎さん、ありがとうございました!


宮崎さん4 中村さんと


自由な時間が多い大学生から、日々バリバリと仕事をこなす社会人へ。いろいろと不安も募りますが、今回お話を伺った時のやりがいをかみしめているご様子に、充実しているのだろうなと思わず憧れてしまいました。現在、4年生は就職活動が盛んな時期。来年は自分の番!と意識して、『働く自分』を明確にイメージした仕事選びを行いたいと思います。
お忙しい中、取材のお時間を取ってくださった宮崎さん、本当にありがとうございました!

さて、大学院に進学された先輩のお話は、7月頃公開予定です。ぜひお楽しみに!


(社会学部3年 浜野 中村 2年 細谷)

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