はじめてのミツバチ・プロジェクト体験記
皆さん、「江古田ミツバチ・プロジェクト」という活動をご存じですか?
地域の方と大学の協力によるこの活動は、毎週日曜日の午前9時から、武蔵大学3号館の屋上で3月から11月の間に行われています。会員数は約60名。そのうち20名ほどが中心となって活動に参加しています。
詳しくはこちら→武蔵大学基礎教育センター活動ブログ:江古田ミツバチ・プロジェクト
まだ一度も行ったことがない、というそこのあなた!とてももったいないですよ。活動に参加するのに特別な手続きや道具は必要ありません。ミツバチの知識がまったくなくても大丈夫、まずは屋上に足を運んでみませんか?今回は、私がはじめてミツバチ・プロジェクトに参加してみた、とある1日を紹介します。
午前9時、武蔵大学3号館屋上に到着。
会員の皆さんが続々と集まってきて準備を進めています。ロッカーから防護服、あみつきの帽子、手袋をお借りしました。
↓3号館屋上入口 ↓活動の装備
準備が整ったら、いよいよ屋上に出て活動に移ります!
↓屋上の様子 ↓2箱×4セット、全部で8つの巣箱たち
屋上ではたくさんのハチたちが元気に飛び交っています!ぶんぶんと音がします。
今行われているのは、巣箱から巣板を1枚1枚取り出して巣の健康状態をチェックする作業。女王バチは生存しているか、卵や幼虫の様子はどうか、巣に異常は起きていないかなどを丁寧に見ていきます。毎回の大切な作業のひとつです。
もちろん、正確な巣の見極めにはミツバチに関する知識と経験が必要。全くミツバチのことを知らない自分に、メンバーの皆さんが活動のなかで多くのことを教えてくれます。そこで気が付いたのは皆さんの学びの姿勢。作業をしながら、お互いに質問しあって疑問を解決し、ミツバチという生物の不思議や神秘について語り合う姿はとても輝いて見えました。
新しい巣板と、蜜でいっぱいになった巣板を持ってみると、その重さの違いに驚かされます。ずっしりとくる巣板の重みからは、ミツバチたちの努力が伝わってきます。それを今から採蜜器にかけ、ハチミツを抽出していきます。
採蜜器をぐるぐると手で回していくと、とろーっとしたハチミツが出てきます。これらが今日の収穫となります!糖度を測定してみると82という値が。ちなみにイチゴ「あまおう」の糖度が11なので、比較してみるとその甘さがお分かりいただけるかと思います。
採れたてのハチミツをその場で試食できるのは、活動の醍醐味。
口のなかで、ふわっとした花の香りが甘さとともに広がります。
こちらは会員のひとりである武蔵大学教授、丸橋珠樹(まるはし たまき)先生。幸せそうな表情をしておられます!
さて、巣の観察、採蜜がこのように同時進行で進んでいるわけなのですが、ここで忘れてはならない大切な作業がもう1つあります。それはハチたちの蜜となる花の水やりと、そのお手入れ。ハチが苦手な方やアレルギーを持っている方でも、直接ハチと関わらない活動ができるので安心です。活動には小さな子どもも参加していますが、そんな子どもたちが活躍する場でもあります!
作業を始めて約1時間半、今週の活動も無事に終了です。お疲れ様でした!
採蜜したハチミツは、丸橋先生の研究室に運びます。
最後に屋上で、現在のミツバチと巣の状況を確認しあい、解散……かと思いきや!?
活動の後には、丸橋先生の研究室で一服しながら楽しく語らうこともあります。ミツバチのことにとどまらず、ローカルな話題から人生経験まで、興味深いお話をたくさん聞けて話せる素敵な空間です……!!
江古田ミツバチ・プロジェクト代表
谷口紀昭(たにぐち としあき)さんより、武蔵大生にコメントを頂きました。
このプロジェクトは、大学のサークルとは違い地域と学校が協力・連携・共同して初めて成り立つ、というところにベースがあります。活動には小さな子どもから高齢者まで幅広いメンバーが参加しています。年配世代の豊富な知識と若い世代のアイディアが混ざり合うことで、活動は継続していきます。
学生の皆さんには、江古田ミツバチ・プロジェクトに参加することで、普段の学校生活では体験することのできない、社会との関わり、幅広い人間関係、町づくりに自らが貢献しているという誇りを得てもらいたいです。
この活動をぜひ、学生自らの成長の場にしてもらえれば、と思います。
活動に参加する前に―注意すべき3つのこと―
1.黒いものを身に着けてこない(ハチは黒いものに寄ってくる習性があります)
2.香水など香りの強いものをつけてこない(ハチが甘い香りにつられて寄ってきます)
3.ハチが手などに触れてきた際、無理に払いよけようとしない(かえってハチに刺激を与えてしまいます。活動中は針を通さない手袋を装着するのが望ましいです)
防護服、あみつきの帽子の装着を正しく行い、防備には念を入れて安全に活動を行いましょう!
今すぐにでも活動したくなったあなたのために
知っていると役に立つ!!ミツバチの基礎知識
(上から)
女王バチを見つけてみよう・・・人為的に白い印をつけられているのが女王バチ。他のハチに比べて、体が細長く落花生のように見えます。
青で囲まれているもの・・・ハチの幼虫
黄色で囲まれているもの・・・小さくぽつんと見える白い点が、ハチの卵
巣板の端に、もこもこと見えるもの・・・王台(おうだい)
女王バチの幼虫は、王台(おうだい)とよばれる特別室でローヤルゼリーを与えられながら大切に育てられます。しかしその役目を終えたものや、巣にとって余分とされた王台は除去していきます。
活動に参加してみて
とにかく自分が感じたのは生き生きとした充実感でした。それは、ミツバチや花に触れたり、世代の異なるメンバーの皆さんとともに活動をすることが自分にとってとても新鮮なことだったからです。自分の通う大学の屋上でこのような貴重な経験ができるのは本当に幸せなこと。武蔵の学生にはぜひこの環境を生かしてほ しいと思いました。また、地域の皆さんにももっと参加して頂けたら嬉しいです。
快く取材に応じてくださったメンバーの皆さん、本当にありがとうございました。
[社会学部1年 今野]