きじキジ的セレクションBOOKレビュー②
2月、『きじキジ的セレクションBOOKレビュー①』公開。
そして3月、『きじキジ的セレクションBOOKレビュー②』へ。
前回(第1弾)からのつづき。
大学生の約2か月の春休み。
そんな膨大な時間の中で、我々は一体何をして過ごすべきなのか。
学校がある内はサークルや、レポート、課題etc..でしっかり時間をとりにくいのが大学生。
だから、まとまった時間がとれる春休みにショッピングや旅行など、
やりたかったことを存分に楽しんでいる大学生も多いはず……。
でも、約2か月の春休み、せっかく時間がとれるのだから…
『そうだ!本読もう。』
そう、このとある編集部員の言葉から始まった、編集部員のきじキジ的セレクション本紹介。
今回はその第2弾(『きじキジ的セレクションBOOKレビュー②』)!
ー記事をご覧いただく前にー
・今回から記事内で紹介する本は以下の5つの条件から編集部員が選んでいます。
・武蔵大学ゆかりのもの(講義、人物)
・武蔵大学図書館から借りたもの
・洋書プラザから借りたもの〈New!〉
・生協購買書籍部で購入できるもの
・江古田ゆかりのもの
・各本のレビューは複数の編集部員が担当しています。私たちの個性が現れた文体や表現もお楽しみ下さい!
・レビューはあくまで各編集部員の個人的な意見です。ご承知ください。
それでは、『きじキジ的セレクションBOOKレビュー②』も最後までお楽しみください!!
第2弾も3人の編集部員が、1作品ずつご紹介します。
学生による武蔵大学の授業アンケートで絶大な人気を誇る、武蔵大学助教の田中俊之先生*の著書、『男がつらいよ 絶望の時代の希望の男性学』!
なぜ、男性にとって今は絶望の時代なのか?それを、「普通の男性」として生き抜くことに不安を感じている男性が増えているから、と田中先生は説いています。学校を卒業して、就職して、結婚して、子供が生まれて……それを完璧にこなすのが、世間の考える当たり前の男性像。女性をリードし、家族を養うのが男として当然?「当たり前」「当然」に縛られ、生きづらさを感じる男性に捧げる、生きやすさを見つけるためのアイデアが満載の一冊です。
でも、今書のレビュー担当編集部員のわたくし、女ですが、この本は是非とも女性にも読んでいただきたい一冊。女性には理解できなかった男性のプライド、見栄、苦しみ……そのかけらでも知ることができたなら、これから「なんで男ってこうかなあ…」と思うことは減る、かも。少なくとも私は読了後、我先にと電車に乗り込み、必死で座席に座ろうとするオジサマを怒りから憐みの心で見られるようになりました……。
*田中俊之先生は以前、特集『学生&卒業生インタビュー』で私たちの取材を快く承諾してくださいました!!
→その記事は『学生&卒業生インタビュー第3弾』で。
先生の本が気になったあなたへ、先生の本は生協購買書籍部で買えます。
(ちなみにMusashi Web Magazineには生協購買書籍部の記事もありますよ。→第一弾/第弐弾)
さて、武蔵大学図書館の利用目的はレポートの参考図書を借りに?それとも授業の予習をしに?はたまた雑誌の最新刊を読みに?いえいえ、武蔵大学図書館にはもっともっと楽しめる、ワクワクドキドキする一般図書もあるんですよ。
今回は意外と知らなかった一般図書に注目!
一般図書のコーナーには江戸川乱歩に太宰治、広く名の知られた文豪たちの代表作から、第152回直木賞を受賞した西加奈子の「サラバ!」といった注目作まで置かれている。そう、あなたがとっとことっとこ3階に上がり、中央にある本棚と本棚の間をすいすい歩けば、右側の本棚の案内板にあらら見えてきた!
そのなかでも、今回ご紹介するのはロアルド・ダール・コレクションの一つ、『おばけ桃が行く』。
主人公は6歳の少年ジェイムズ・ヘンリー・トットコくん。両親をなくしたジェイムズくんは、意地悪で自分勝手な叔母2人に引き取られ、毎日毎日召使いのようにこき使われる。ホントにつらくて悲しいことだらけ。そんなある日、奇妙な老人がジェイムズくんに奇妙な贈り物を渡しに来た。これが本当のはじまりはじまり。老人がくれたこの贈り物があららどうした、ジェイムズくんの暮らす家の庭にある桃の木の桃をどんどん、その近くに暮らす7匹の虫たちをぐんぐん大きくさせた。これで、主要な登場人物は出揃った!不気味で巨大な7匹の虫たちとジェイムズくんは巨大な桃に乗り込んで、いざ冒険の旅へ。
そう、ダール氏は豊かさ溢れる擬音語や擬態語の多用と、リズムを創り出す言葉選びで歌を歌うかのような少年と7匹の虫たちの冒険物語を描いたんだ!
読んでみたら、よくわかる。なんだかリズムが聞こえてくるから。
読み進めていけば、よくわかる。これでもかと積み重なった擬音語や擬態語の絶妙さが。
読み終われば、よくわかる。本の中に溢れる音と子供の頃に感じていた本のワクワク感が。
どれをとっても、魅力的!ダール氏の本には子供心と夢と音がいっぱいだ!
でも、翻訳家の柳瀬さんも忘れてはいけない。だって、彼の翻訳がダール氏の世界観を私たちに伝えてくれているのだから。彼曰く、ダール氏の言葉選びこそ、独特の世界観を作り上げる重要な要素なんだそうだ。その翻訳の裏話を、彼は最後ユーモアのある、とある形で結んでいる。そこも個人的におすすめしたい。
もうみなさん、すでにお気づきかもしれませんがこのレビューはダール氏のまるで歌を歌うかようなリズミカルな表現を真似して書かせていただきました。(ダール風といいましょうか……、完成度はごらんの通りです笑)
ロアルド・ダール・コレクション!
そうその名の通り、コレクション!
『おばけ桃が行く』に、『チョコレート工場の秘密』まだまだたくさんあるんだよ。
あらら?知った名前もあるもんだ!なんてったって、映画化されて超有名。
あれれ?もっと身近で見たことあったぞ!そうだ、小学校の図書室だ!
懐かしい、オモシロそう、読んでみたい。思ったあなたへ。
そうさ!武蔵大学でだって読めるんだ!
さあさあ行こうよ。武蔵大学図書館へ。
レビューを読んだらわかるはず。なんだかこのリズム、知ってしまえば好きになる。
『アリーテ姫の冒険』は1983年にイギリスで出版された物語です。日本では1989年に翻訳版が発行され、その後、多くの読者から原文を読んでみたいという声がよせられて、1990年には英語版が発行されています。
物語の主人公であるアリーテ姫は、読書が好きでかしこい女の子です。「女はかしこくない方がいい」という価値観のある時代であったため、姫がかしこいということを知った王様は、世間にそのことが知られる前に姫を結婚させようとします。たくさんの王子様がアリーテ姫の元に訪れますが、なかなか結婚相手はみつかりません。そして、最終的には王様が決めた相手と結婚させられてしまいます。姫が結婚式の前に魔女のワイゼルおばさんを訪ねると、おばさんは願いが3つだけ叶えられる指輪を姫にくれます。この後、おばさんからもらった指輪に姫がしたお願いの内容がとても意外で、次はどんなお願いをするのだろうとわくわくしました。
「むかしむかし……」という王道なはじまり方をするおとぎ話ですが、アリーテ姫は誰かの助けを待っているのではなく、自分の力で困難に立ち向かうことで道を切り開いていきます。原題は『The Clever Princess』、賢い王女です。アリーテ姫は勇敢で賢く、優しいお姫様で、典型的な「か弱い」お姫様の物語とは、ひと味違ったストーリーになっています。
日本語訳版は図書館に、英語版は洋書プラザ*にあります。英語版も、それほど難しい単語や文法は使っておらず、後ろに注釈もついているので比較的読みやすいと思います。童話が好きな人、また洋書に興味がある人は是非読んでみてください!
*Musashi Web Magazineには、洋書プラザを取材した記事もあるんです!!
→その名も、『洋書プラザのトリセツ』。
第2弾でも、3人の編集部員が3冊のオススメ本をご紹介しました。
気になった本があれば、ぜひ手に取ってみてください。
たかが、2か月。されど、2か月。
せっかくの休み、利用して『そうだ!本読もう』
To be continued…?
〈レビュー① 芝山、② 北村、➂ 細谷〉
〈編集 北村・細谷〉