江古田散歩① 喫茶店『ねっこcafe』
「今日はどこに行こうか。」
武蔵大学に通い始めて、もう3年。江古田の町を私はどのくらい知ることができただろう。
2016年公開記事〈江古田であそぼ〉で、江古田にたくさんある個性豊かで楽しい雑貨屋さんの中から編集部員オススメの2店舗をご紹介した。だが、江古田には世界各地の飲食店の他、喫茶店やカフェも多く見かける気がしないだろうか。
Musashi Web Magazine編集部は「知らないことを知れる」場であるとともに、その「気がする」「気になる」を知れる場所でありたいと思う。
だから、いまもしあなたが世界の味を知りたいと思ったなら、江古田世界一周記事を読んでみてほしい。しかし、もしあなたが学生生活の中で「気軽」に「一人」でも「のんびり」過ごせるお店を知りたいと思ったなら、ぜひこの記事を読み進めてほしい。
今回の記事は言うまでもなく、「グルメ」記事である。
その中でも喫茶店・カフェに注目した。
今回は『ねっこcafe』さん。
『ねっこcafe』さんは学生生活課の前に置いてある『巡って楽しい江古田マップ EKODA MAP by nerimaga 第3号』で以前から気になっていたお店。店名から気になっていたこのお店はいったいどのようなお店なのだろう。編集部員2名が店主吉田さんからお話を聞かせていただいた。
*ちなみに以前もこのフリーペーパー(現在は第4号)をきっかけで記事を書かせてもらいました。
詳細は→〈ガラクタや ネバーランド〉
【営業時間】9:00~17:00
【定休日】金曜日・土曜日(土曜日は臨時営業する事も多いので、詳しくはTwitterで)
【住所】東京都練馬区栄町37-5
【Tel】03-5946-6568
全て手作りの焼き菓子が食べられる喫茶店。
まるでケーキ屋さんのような外装が特徴的。お店の中は、店主吉田さんが趣味で集めた可愛らしい雑貨と、ふたばねこの作家さんたちが描いたイラストに溢れ、なんだか女の子の「好き」が集まった素敵な空間がありました。幅広い年齢層のお客さんがおしゃべりしたり、お店にある本棚から気軽に読書が楽しめたりのんびり過ごせます。
*『ふたばねこ』さんの詳細は、〈妄想デート〜第6弾〜〉で。
店名の由来
『ねっこcafe』の「ねっこ」は木の根っこという意味なんです。
喫茶店やカフェはお店を続ける難しい業種なのですが、そんな中でも「同じところで長いことお店をやりたい、根を張りたい。」という意味を込めて『ねっこcafe』にしました。
江古田でお店を開いた理由
元々西武線沿いで物件を探していたんです。その時、江古田に住んでいる友だちに「江古田も結構良いよ」と言われたので、様子を見に行きました。その次の日くらいに江古田の物件情報が出ていて、それでとんとん拍子に江古田に決まりました。
お店のコンセプト
ざっくり言うと、「近所のお菓子作りが上手なおばちゃんのお菓子が、いつでも食べられるお店」です。
日本のお菓子屋さんはしっかり勉強をしたプロフェッショナルな方が多くて、やはりお店の味ばっかりなんです。南フランスやアメリカの田舎に行くと、「どう考えてもおばちゃんが裏でざっくり作ったような、美味しいけど頑張れば自分でも作れるかもしれない。でも、実際作ってみるとちょっと違う。そんなお菓子が食べられる」というお店があります。多分皆さんの周りにもお菓子作りが得意なお母さんっていたと思うんですが、その人が自分のお母さんじゃないと食べたい時に食べられないでしょ。そういうもっと日常的なお菓子を出してもいいのではないかなと思っています。
お店でのこだわり
リラックスできる雰囲気が一番大切なので、大多数のお客さんが居心地よく居られるようにしています。
例えば、お客さんが勉強したい時や、本を読みたい時にはもちろん話しかけません。でも、おしゃべりなお客さんが、2、3人来てしまうと、静かにしたい人には申し訳ないけど会話を盛り上げます。うちは時間帯というよりは、その時々で雰囲気がすごく変わります。
あと、わきあいあいが一番良いですね。全ての業種にあることだと思うのですが、ちょっと困ったお客さんも時々いらっしゃるんです。でも、困ったお客さんではなく、一般のお客さんに最大限配慮できるように心がけてます。
お店を開いている上で、気を付けていること
衛生面はすごく気を付けています。
私がすごくお腹が弱いので、ちょっと神経質になっています。でも、飲食店だと、ちょっと神経質なくらいが、ちょうどいいですね。。
あとは、お客さんの愚痴を受け止めてあげるのはすごく大切なんですが、なるべく楽しい話に変えられるように心がけています。
drink 色んなドリンクが楽しめる。以下で一部をご紹介。
▽トルコの紅茶
トルコは「コーヒー」のイメージだったんですけど、現地に行ってみたら、現地の人たちはほんとに朝から晩まで「お茶」を飲んでいたんです。基本的に私はお茶に砂糖を入れて飲めない人なんですが、トルコのお茶だけは砂糖を入れておいしく飲めたんです。で、飲めるようになったのかと思って、日本に戻ってきてから、色んな紅茶に砂糖を入れてみたんですけど、美味しくなくて(笑)やっぱりちょっと茶葉が違うのかなと思って、日本で一社輸入している問屋さんから卸してもらっています。
▽屋久の紅茶
屋久島に旅行に行った時に、たまたま出くわした農園さんから直接仕入れています。有機栽培の和紅茶なので、渋みが少なくてとても美味しいです。発送してもらった段ボールの中に、商品以外のあれこれ(果物とか)が一緒に入っていたりして、実家からの荷物みたいになっちゃうとこも人柄が表れてて素敵です。
▽台湾茶
それこそ高校生くらいのときにすごいドはまりしたんです。
台湾茶は、現地で購入した方がお店での価格を抑えられるので、全部台湾で買ってきています。
▽ハス茶
香料で味付けされた安いお茶ではなく、本物のハスを使っているお茶を仕入れています。
人気No.1
その質問が難しいんですよ(笑)でもなんだかんだ、結局一番出るのはコーヒーです。コーヒーは、以前江古田に店を構えてた『Dream Coffee ドリームコーヒー』さんから卸してもらってます。なにげなくうちのコーヒーを気に入っているお客さんに『Dream Coffee ドリームコーヒー』さんの話をすると、「あ、俺昔行ってたわ!」って思い出す方が結構います。なので、ちょっと江古田の人には懐かしい味なのかもしれません。その『Dream Coffee ドリームコーヒー』さんはいま池袋にあるんですが、うちの店からまだ池袋で営業していることが分かって、豆を買いにいったりするお客さんもいらっしゃるらしくて、お互い良かったねって言ってます。
タイミングによるおすすめメニュー
「気温が暑くて、冷たいものを飲んでもずっと体が火照ってるかんじがする」とか、そういうときには高山茶や碧螺春茶(へきらーしゅんちゃ)を飲むと、身体の熱がとれるので飲むことをおすすめしています。二日酔いのときは苦丁茶(くちょうちゃ)や、お腹がいっぱいすぎて気持ち悪いときにはプーアル茶とか、そういう感じで台湾茶や中国茶は使い分けてますね。あと、ちょっとショックなことがあったり、気落ちしていたり、風邪気味だったりする時はカモミールティーとかをおすすめします。なので、時々うちのお店は漢方薬局みたいになります(笑)
ちなみに、寒暖差に悩む編集部員にお勧めのお茶は基本的に身体を冷やさないウーロン系やプーアル茶でした。温度管理が大変なときにお腹を冷やすと、色々と体力を持っていかれるので身体を冷やさないことが大切なんだそうです。もう一つお勧めされたコーヒーはちょっと疲れたときは眠気がとぶが、すごく疲れたときは眠くなるそうです。なので、コーヒー飲んで眠いときは、もう寝た方がいいそうです。コーヒーでも誤魔化しきれない疲れには睡眠第一です。
food
開店当初から不動の4種「ブラウニー」「アーモンドとクランベリーのビスコッティ」「バナナマフィン」「クッキーおまかせ4枚」。
人気No.1
一番人気なのは「バナナマフィン」ですね。
お店を始めた時はスーパーで買ってたんですが、一度バナナ切らしてしまったことがあって、その日はフクミ青果さんでバナナを買って「バナナマフィン」を作ったんです。そうしたらいつもと全然香りが違って、その日お店に来てくれたお客さんも「今日のバナナマフィン美味しい!」、「何故かわからないけれどいつもより今日すごく美味しい」みたいに言ってくれて、おかわりをしたり、「念のため2個買って帰るわ」みたいな人が出ちゃったので、スーパーのに戻せなくなっちゃって(笑)値段は全然違うんですけど、美味しいならしょうがないかなって(笑)あと「ブラウニー」がなぜか男性に人気ですね。
軽食・期間限定メニュー
うちはランチはやらないっていう方針なんですけど、でもちょっと軽食が食べたいという要望があったので……。クッキーとかの材料でオートミールを使うので、オートミールポリッジも出してます。ホットサンドは小食のお客さんや、2時・3時になって、小腹がすいたけど甘いものは食べたくないみたいなお客さんが頼んでくれるのでお店で出していますが、軽食にとどめるようにはしてます。イベントなど期間限定でランチメニューも出すことがあります。
取材を終えて早速注文といきたいが、話を伺った私たちは色んなお茶の効能や味に興味津々だった。
そんな時に、店主の吉田さんから「気軽に質問してくださいね。」という鶴の一声。
そこで気になったお茶を片っ端から質問してみると、茶葉の香りを嗅がせてもらえた。
茶葉の香りから味を想像して悩んでいる瞬間さえ楽しかった。
考えあぐねて、私はやはり人気メニューの「ホットコーヒー」と「ブラウニー」を、彼女は体を温めてくれる「プーアル茶」と「バナナマフィン」の組み合わせで頼んだ。注文が届くと私と彼女は顔を見合わせて、まずは飲み物を一口。
ホットコーヒーは苦みが少なく、すっきりした飲みやすさ。だからか、初めてコーヒーが飲めるようになったお客さんもたくさんいるそうだ。プーアル茶は、まるやかな口当たりでじわじわと体を温めてくれた。ちなみにdrinkはTake outもでき、私たちも最後は持ち帰って楽しんだ。「ブラウニー」は、チョコレートが優しく、一つペロッと食べてしまった。「ホットコーヒー」との相性もバッチリで、男性人気の理由も分かる。「バナナマフィン」はバナナ特有のベトベト感がなく、バナナの甘さがふんわり口の中に広がり、ついつい手がのびて完食!
自分では作れない、外の家庭的な味が楽しめて、ほっこり。ご馳走様でした。
こういうお店であり続けたい
特別なお店じゃなくて、たまに行くお店でも何でもいいから、町の人たちの「生活の一部」でありたいですね。それで「生活の一部」にした結果、どんどん人と人とがつながっていく場所になれればなと思います。才能ある人と知識ある人が結びついて面白いことが始まったらなって(笑)
江古田の町の良さ・魅力
店側からすると、べたべたに仲が良いわけではないのですが、すごく横の繋がりが強くて、合う人は合う人でいいし、合わない人は合わない人でいいんだけど、孤立感は誰も感じてないと思うんです。なので、店を始めた1年目って初めてなことだらけで、全部わからなくても、そんな時に相談したり、どうにもならない困ったこととかを共有できたりするんです。楽しいこともキツいことも話せるのって、実際に1日店の中に立っている個人商店同士なんですけど、それが頻繁に色んな人と顔を合わせるきっかけにもなってますね。
武蔵大学生へ
いつでもおいで!
それこそ一人で来て、本を読んでたら話しかけないし。本読んでなかったら、逆に話しかけると思うけど(笑)ここでちょこちょこ相談してみると、手助けすることもできるから。大学生で、引っ越しをしないといけないって時になんかここでちょこちょこ相談してていたら、うちのお客さんが手伝ったこともあるし。あと、大学生でもおばあちゃんでも奥さんでも一人暮らしでも若い子でも「今日の夕飯どうしよう…」っていうので、あれやこれやそれや話したりして、夕飯のメニューが決まって「それいいかもね!」って言って帰る子とか。なんかこう「バレンタインのお菓子どう作ったら、いいですか」とか。こうしてこうやって型に入れれば大丈夫とか。だから、全然気構えずに来てくれて大丈夫です(笑)あと、専攻している学科の話だったりとかすると、たまたまそこにいた人が詳しかったりするので面白い話が聞けたりするよ。
『ねっこcafe』
そこは気さくな店主吉田さんが手作りのお菓子とほっこりするお茶を用意して待ってくれる、あったかい喫茶店。
そこは木目調の店内に日の光が入り込み、自然に心が落ち着く居心地の良い喫茶店。
武蔵大生としての貴重な4年間で、江古田を歩く。
オープンキャンパスや白雉祭で江古田に訪れたから、江古田を歩く。
「ほら、また1つ江古田を知った。」
【社会学部 3年 北村・今野・細谷 編集:北村】