武蔵大学探検隊「宮古島の聖地狩俣、その集落誕生の井戸を追え」!
よし!本日午前の調査目標クスヌカー・イスゥガーの整備・スキャンを終えたし、宿へ帰還するか!
ようやく…ようやく帰れるんですね…!!(満身創痍)
ただ帰りなんだけど、満潮で来た道は海の底なんだよね…ってことで、山を登って帰ろう!
(絶句)
↑すでに海沿いの道は潮の下、そのため登山によるルートしか無いのだ。
先人が残したロープが残ってるから、それを辿って登っていくよ~
このときはまだ、おおよそ高尾山的なトレッキングだと思っていた。
しかし、その予想は早くも崩れ去り、自然の脅威を味わうことになる…
↑(画面中央)これが先人のロープ。あんまりだ。
ああ、これを登っていくのか…先人はすごいなぁ。
ちょっと中村くん、気合いいれてね。気を抜いたら、分かるよね?
(放心状態)
海沿いの道が歩けるようになるまでにはあと数時間程度掛かる、虫よけ(蚊がえげつないので必須品)の残り時間はもって30分程度…
残念ながら導き出される結論は、このロープを信じて登っていくしか無い。
…!!
宮古島での経験が、心を強くしたのか。腹を括った私は、ロープを掴み登り始めた…!
↑山奥へと続くロープ。その先はまだ遥か。
写真では分かりづらいのが何よりも口惜しいが、とにかく勾配が急。
8号館入口横の階段なんて目じゃない。ただただロープを頼りに、山肌を登っていくだけなのだ。
中村くん、手を貸して!引っ張り上げるから!
本当にリポDのケイン・コスギみたいな場面を乗り越えながら、とにかく登った。
そして遂に…!!!!!
↑宿から見える、なんてきらやかな朝日!
これが意外と不思議な事に、疲れは感じなかった。
本当に危ない場面連続で、アドレナリン全開になったからなのだろうか。
しかし油断禁物、そして宮古の昼は本当にあっっっつい。そのため真っ昼間は休む事になったのだ。
↑九州・沖縄などでしか見られない、珍しいアイス「ヨーグルッペ」。
凍っていながらもぷるぷるした、不思議なヨーグルト。ありがたい…
↑地元の方がご厚意でくださった、シャーベット状になったマンゴージュース。
間違いなく、人生で食べたマンゴー味の中で一番濃かった。ありがたい…
↑こちらも地元の漁師の方のご厚意で漁船に乗せてもらい、宮古島沿岸を周航した場面。
海は信じられないほど透明で、少し覗けば数え切れない程の魚たちを見ることができた。
さらには名所である池間大橋を船でくぐってくださり、まず普通では体験できない経験ができた。
その後も私は調査に継続参加し、狩俣の様々な遺構を畏敬の念を持って調査・整備し、隊員達と共にたくさんの調査結果と今後の課題を残した。
掲載しきれない程の写真、そしてかけがえの無い思い出と共に、全4日間の調査日程を終え東京へと帰還した。
地元の人曰く、クスヌカー・イスゥガーなどは聖地ではあるが、草刈りなどの整備は中々骨が折れるのだという。
そんな中、若い人たちが地元の聖地を掃除・調査し、さらには子供たちを喜ばせて盛り上げてくれることは、ありがたい事だと感謝してくださった。
その気持ちとして、焼き肉パーティーや数え切れない差し入れ品、そして漁船に乗せてくださるなどのおもてなしをして頂けたのだ。
私達からすると非常に貴重すぎる経験で、代え難い時間を過ごす事ができた。本当にありがとうございました。
石井教授研究室では、毎年このような琉球文化・遺構の発掘調査を行っている。長年の調査の実績が、地元の方々との信頼関係構築に繋がっているのだ。
この場を借りて、調査にご理解してくださり更にはおもてなしてくださった地元の方々・この私を調査に参加させていただいた先生・そして数多くの危険な場面から私を救ってくださった調査隊員の皆様に、重ねて感謝申し上げます。
文責:人文学部ヨーロッパ文化学科4年 中村 航