ムサシで探す。オモシロい人。
新井:続いて、「ワニのつまさき団」というフラッシュモブ※の学生団体を起ち上げたという話を伺いまして。
※フラッシュモブ…事前に示し合わせたエキストラの人たちが、路上や雑踏の中で突如パフォーマンスを行い、関心を引く行為。また、サプライズ的に誰かを驚かせようと、あるいは喜ばせようとして、対象者を除いた周囲の人たちが示し合わせてパフォーマンスを披露することもある。
門馬:はい。
新井:どうして、フラッシュモブの団体を起ち上げようと思ったのですか?
門馬:最初からフラッシュモブをやりたかったわけではなくて、それこそほんと何か面白いことがやりたいなって思ってたんですね。既にいろいろな種類の活動をしている団体はあるから、そこに入ることも出来るんだけど、なんだろう…僕は、1からつくるのが好きなんですね。
大学入ってすぐは、サークルに2つ入ったんですが、先輩がいるので、遠慮してしまい、そんなに自分を出すことが出来なかったんですよ。それで、自分で何か面白いことをやりたいなって思ってたときにフラッシュモブを見つけて、これなら自分の長所、アイデアを活かせるなって思いました。それで、1年生の9月頃から着手しましたね。
新井:なるほど。では、起ち上げるときに一緒にやることにした仲間、メンバーはどうやって決めたのですか?
門馬:初期のメンバーは高校の頃の友達です。仲が良かった人というより、一緒になにか活動してて、すごいなーって思った人を、片っ端から集めたんですよ。映像製作がすごく得意だったり、顔がめっちゃカッコよかったり、人をまとめる力があったり、工作が得意だったりする人たちですね。
新井:自分で声をかけて?
門馬:はい、みんな本当にすごいと思う。僕は高校の時に生徒会長を務めてたんですけど、その時の生徒会のメンバーにもすごい人が多かったので、声をかけましたね。
新井:へー。面白いですね。それでは、作る段階で大変だったことや苦労したことはありますか?
門馬:作る段階というか、現在進行形でも大変なんですが、仲いい人を集めて作った方がいいんじゃないかってくらいまとまらない。すごい人たちに声かけたから、我が強い人間、プライドが高い人間が多いんですよ。
あと各々忙しいから、予定がなかなか噛み合わないんです。大学公認の団体ではないので本拠地の学校があるわけでもないから場所も決めにくくて。そうなるとせっかくいいアイデアがあるし、色々なスキルを持った人もいるのに、予定が合わないせいでちょっとやりにくいという苦労があります。定期的に集まれて、出席率が8割越えれば、間違いなく面白いんですけどね。
新井:そういったアイデアは、基本的に門馬さんが出しているんですか?
門馬:基本的にはそうです。自分の強みはアイデアが豊富であったり、発想が豊富なところだと思ってます。特に、フラッシュモブとか、ひとつのアイデアが魅力的に映えるような表現活動なら、自分を一番活かせるかなと思っていました。
でも、他の人は、不安になりそうじゃないですか?本当にフラッシュモブのアイデアあるの?って。
みんなが不安になるのが嫌だったので、最初にフラッシュモブのアイデアを30個くらい、一気にプレゼンして、それだけあるから絶対大丈夫っていうのをやりましたね。
新井:おー、なるほど!
門馬:多分、どのアイデアもそれなりに面白いと思うんですけど、このやり方は後に失敗だと気づくんですよ。
新井:え?というのは…?
門馬:メンバーのモチベーションが上がらないんですよね。危機感も何もないし、どうせ門馬が、アイデア出すしって思ってしまって。自分の強みを発揮するという意味では成功だったんですが、みんながアイデア出さないし、会議の形が、僕がアイデアをプレゼンして、みんながそれでいいんじゃないって言って実行に移すだけになってしまいまして…。
あと、一気に30個も出しちゃったから、ちょっと無駄遣いしたなって思います。その中から案を使っていくと、全然進歩していない感じがするので、使いたくないんですね。でも、アイデアとしては良いものもあったのでもったいないですね。
新井:新しく考えないといけないので大変ですね。
門馬:いや、アイデア考えるのはそんな大変じゃないですね。
新井:そうなんだ、すごいですね。
ちなみに今まで実際にやったフラッシュモブの中で、どんなものが一番自信をもって、面白くできたなって思えますか?
門馬:えーと、海賊船のフラッシュモブですね。会議で、海賊船を出没させよう、みたいな話になったんですよ。
フラッシュモブには、例えば街中に突然コスプレをした人たちが現れる、みたいなものがあるんですけど、それって唐突なんですよ。あまり、意味も分からないし、ただ目立ちたいだけ、みたいになってしまうと思ったんです。
それに、コスプレだけだとあまり面白くないから、ストーリー性を持たせようと思ったんですね。
それで考えたのが、「海にいるはずの海賊を、井の頭公園の池に出没させる。」というものでした。本来は、大海原で戦っているはずの海賊たちがほのぼのとした吉祥寺の井の頭公園の池にいたら、面白いじゃないですか?
周りには、恋人どうしでスワンボートに乗っている人がいたり、家族連れがいたりする中を、海賊がボートで通りすぎるんですよ。しかも、海軍に追いかけられながら。
絵的にも面白いかなって思ったんですが、反響は大きかったですね。
色んな人に話しかけてもらえたし、池があまり広くないので、一般の方が海賊のボートのすぐ近くを通ったときに、「すみません、命だけは!」って冗談で言ってくれたりしましたね。
新井:そうやって、周りの人たちもノッてくれたんですね!
門馬:そうそう。それで、池にかかっている長い橋が、半分以上見物する人で埋まって。
新井:へー!すごく盛り上がったんですね!じゃあ、やりがいであったり、やってて面白いことって、そういった反響であったりするところは大きいんですか?
門馬:そうですね、みんなで話し合って、具体的にフラッシュモブの光景をイメージするんですよ。こうなったら良いねとか、こういう反応来たら面白いねとか。その理想が、実際に形になって現れたとき、「ほら、計算通り!」っていうか、「キタキタキタキタ、これが欲しかったんですよ」って思えるようなリアクションが見れたときは、嬉しいですね。
新井:なるほど、それは嬉しいですね!
そんなワニのつまさき団ですが、メンバーの募集は行っているのですか?
門馬:実をいうと今転換期で、メンバーが一新するかもしれないんですが、参加したい方はいつでも募集中です!
運営をするメインのメンバーとは別に、一緒にフラッシュモブを盛り上げてくれるエキストラも常に募集していて、Twitterなどで随時告知しています。
新井:それでは次の情報ですが、武蔵大学内の活動として放送会(MBC)の会長をやっていらっしゃるということで。
門馬:そうなんですよ。
新井:放送会は、どのような活動をしているんですか?
門馬:基本的には毎日お昼休みに3号館と8号館の間にラジオの生放送を流しているので、ぜひ聞いて下さい(笑)それに加えて、定期的にイベントを開催しています。大きく分けると2種類あって、自分たちで映像をつくって発表する番組発表会と、バラエティ番組みたいに出演者を呼んでお題等を用意してクイズに答えてもらったり、出演者同士で賑やかに話していたりする様子をお客さんに見てもらって楽しんでもらうタイプのイベントをやっています。
新井:放送会は今、部員が多いと聞いたのですが、そういった大人数のメンバーをまとめるのに、工夫とか、コツとかってあるんですか?
門馬:コツと言いますか…大人数だからこそ、ちゃんと一人一人に話しかけることだと思います。
所属している人の意識からすると、人数が多いと「私は別にいなくてもいいかな」とか、「注目されてないな」って思いがちだと思うんですよ。そうすると、モチベーションが低下したり、行かなくていいかなって思ってしまったりすると思うんです。会長という、団体の中心にいる存在に気にかけてもらっていると、団体に関わっていると感じられると思うので、それはできたらいいなって思ってやっています。また、恐怖政治みたいに無駄にプレッシャーを与えないようには気を付けています。